TGS会場の一角,ポップな黄緑と水色を基調にした明るいブースの雰囲気と,多くの試遊台で独自の存在感を放っていたのが,フランスのAnkamaのブースだ。出展作品は同社が開発したMMORPG「」である。 この「Dofus(ドフス)」,Diablo iii Gold,筆者は以前から「日本ではほとんど知られていないが世界レベルでは大成功しているらしいカジュアルMMORPG」として名前は知っていた。2004年のリリースから5年,現在ではフランス語,英語,スペイン語,ドイツ語,イタリア語,オランダ語,ポルトガル語のバージョンがあって,世界150か国でサービスが行われているという。その作品が日本でもプレイできるようになるらしいのだ。 本作の一番の特徴は,そのグラフィックスのかわいらしさだろう。日本のアニメの絵柄に近いというか,よーく見るとちょっと違うものの,それでもほとんど違和感なく「かわいい」と思えるテイストの絵柄だ。海の向こうからやってきては,よく我々の目に入る,あの“なにかが違う絵柄”とは一線を画するクオリティ。AnkamaのJulian Buecheler氏によれば,これらは日本のアニメーションに強い影響を受けたフランス人の作家が描いているとのことだ。実際のゲーム内のアートもしっかりイラストを踏襲していて,Diablo3 Gold,見ていてとても気持ちがいい。 実際のゲーム画面は非常に美しい。2Dの利点を活かした高い画面解像度設定と,その上での描き込みがとても細かいこともあるけれど,本作の画面をハイレベルなものにしているもっと重要な要素は,きちんと独自の個性と才能を持ったアーティストが,UIも含めたゲームの隅々までしっかりとアートディレクションを行っていることにあるだろう。キャラクターやオブジェクトのデザイン,それらにほどこす“塗り”のテイストなどに,確たる意志と統一感が見てとれる。 2Dグラフィックスを使ったMMORPGとしてのフレームワークは,いわゆるよくあるタイプのものを想像してもらって差し支えないが,こまかなところにいろいろと独自のものが見られる。とくに戦闘部分は変わっていて,とにかくクリッククリックなゲームではなく,シミュレーションゲームのようにターンごとに移動と攻撃を繰り返すシステムになっている。 またクラス(職業)のバリエーションも凝っている。「Dofus」の冒険の舞台はオリジナリティに満ち満ちたファンタジー世界で,クラス名は“戦士”ではなく「サクリエールの血」,“魔術師”ではなく「ゼロールの砂時計」,“暗殺者”ではなく「スーラムの影」といったように,ゲーム内世界の伝承を基にした詩情あふれるものになっているのだ。 TGSのブースには20台近い試遊台が並べられ,そのすべてに,すでに日本語化されたクライアントがインストールされていた。Ankamaは今年の春に日本支社を設置し,現在は日本語サービスを行うパブリッシャとの交渉を進めている段階だという。おそらく年内に運営元が決まり,その数か月後にはサービスを開始できるだろうとのことだ。 なお本作は,Windowsのほか,MacintoshやLinuxにも対応している。
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